「塚本晋也×野火」全国書店で7月11日発売予定!

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太平洋に浮かぶ小さな島、したたるような緑が溢れるジャングルの中で繰り広げられる不条理な顛末は、人間の本質とともに「戦争」なるものとは何なのかをあぶり出します。それは、戦後から70年経った今を生きる私たちを直撃します。

戦争文学の金字塔・大岡昇平氏の『野火』を、鬼才・塚本晋也監督が戦後70年の今、気迫の自主制作によって映画化しました。2014年のヴェネチア国際映画祭コンペ部門に出品され、現地で物議を醸した問題作です。

自分は何と戦っているのか。命を奪うのは誰なのか。戦没者の8割が飢餓や病気によって命を落としたといわれるフィリピン戦。出口なき彷徨い、崩壊してゆく精神、戦場のリアルにこれでもかと突き落とされる強烈な映画体験が待っています。時代を超えて普遍的な「戦争」がスクリーンから臭いたつのです。

本書は、塚本監督自らが監修、作品の舞台となった「レイテ戦」とは何だったのか、「戦争」とはいかなるものか、あらゆる角度からのアプローチを試みました。

作品を深く味わうために。あのシーンの、あの一言の背景にあるものの輪郭を確かめるために。薄れゆく戦争の臭いの記憶を肉体に呼び覚ますために。ぜひ手にとっていただければ嬉しいです。

B5判/104ページ(カラー8ページ)/本体926円+税
全国書店で7月11日発売予定。全国上映劇場でも販売。
amazonでも予約受付中です。

巻頭カラー「本編スチール+監督メッセージ」
寄稿:田原総一朗「ただ「愚かしい」のが戦争だ」
監督インタビュー:塚本晋也に訊け!
「火種のようなものは、自分の闇の部分に起こるかもしれない、そこを見つめたい、と思っていた」
対談:宮台真司×塚本晋也
「<世界>があるのではなく、<世界体験>があるだけ」「お遊びは終わりなんですよ」
図解:第二次世界大戦/太平洋戦争/レイテ戦(ひとめでわかる地図・年表付き)「民間人が多く巻き込まれた大戦・ミッドウェー海戦で変わった戦局・決戦場としてのフィリピン・飢えと病気に倒れた兵士たち」
寄稿:宮台真司「『野火』は塚本晋也監督の25年に及ぶ真価の最終地点を示唆する」
キャスティングからみる『野火』「リリー・フランキー/中村達也/森優作/山本浩司/中村優子」
寄稿:篠田博之「戦争映画に久しくはぎとられていた身体性をみる」
塚本晋也の絵コンテ「妄想からの出発」
「完成台本」(詳細解説付き)
寄稿:ヤン ヨンヒ「スクリーンの兵士たちの姿は今も続く現実の中にある」
寄稿:小島秀夫「『野火』、人生ふたつめの火傷」
寄稿:篠原勝之「蛆と兵隊」
寄稿:島田雅彦「野火と塚本スタイル」
あとがき:塚本晋也