『野火』戦後75年アンコール上映

戦後70年に当たる2015年に初公開した塚本晋也監督の『野火』。これまで71年、72年、73年、74年と毎夏上映を重ねてきました。そして戦後75年を迎えた今年も終戦記念日を中心に、渋谷・ユーロスペースほかにて全国上映を行わせていただく運びとなりました。初公開時、塚本監督が「今、実際に戦争の痛みを知る人がいよいよ少なくなるにつれ、また戦争をしようとする動きが起こっているような気がしてなりません。」と述べていますが、さらに時が進んだ今、引き続きスクリーンを通して戦争を体感していただき、戦争の恐ろしさを記憶にとどめていただきたいと考えております。戦後75年の今年は東京都内での塚本晋也監督の登壇のほか、劇場とオンラインでつながるリモートトークも実施予定です。


戦後70年にあたる2015年に初公開した塚本晋也監督の『野火』。構想から20年の歳月をかけ完成させ、2014年にヴェネチア映画祭メインコンペティション部門出品、翌年に全国83館で劇場公開され、その後も、製作当初から「『野火』を毎年終戦記念日に上映されるような映画にしたい」という塚本監督の思いに共感した劇場にて、毎年アンコール上映を重ねてきた。

初年度からの劇場・自主上映含む総観客数はおよそ9万2000人にのぼる。公開から6年目となる戦後75年の今年も渋谷・ユーロスペースを中心に全国32館の劇場で上映が決定。(7月10日現在)初年度ぶりの上映となる劇場もある。

今夏のアンコール上映に際しては、メイン館である渋谷・ユーロスペースと新文芸座の東京都内の2館で、塚本晋也監督のトークイベントを実施のほか、東京都外の劇場とはオンラインでつないでリモートトークも実施予定(一部劇場を除く)。各劇場のリモートトーク実施の有無、日時等詳細は劇場HP、『野火』オフィシャルサイト・SNSにて随時発表する。


【塚本監督からのコメント】

戦後70年に公開した「野火」。今年で6年目の上映になりますが、
毎年終戦記念日を中心に多くの劇場で上映してくださっています。
今年は戦後75年。他界された大林宣彦監督が言い残されたように、
戦後70年のときに感じた世の中への不安はますます大きくなっていくばかりです。大林監督によると、今はすでに戦前かもしれないのです。

ぜひ「野火」を劇場の臨場感で体験していただき、
ひとりひとりが戦争という極限の虚無に近づかないよう、これからのことを考えていただけたら、と思います。

塚本晋也


本作が公開された2015年について塚本晋也監督は「戦後70年は、実際の戦争に行かれた方々がほとんどいらっしゃらなくなった年。戦争の痛みを知る方々が少なくなるにつれ、戦争に近づいてしまうという恐れを実感する。」と述べた。そこから時代はさらに進み、今年4月10日には、戦争の恐ろしさを伝え続けた名匠・大林宣彦監督が、最新作『海辺の映画館 キネマの玉手箱』の公開を控えながら逝去。大林監督は死の直前、次の世代を担う4人の監督に遺言とも言える言葉を残していたという。その一人が塚本晋也だった。(※7/5放送NHK BS1スペシャル「映画で未来を変えようよ~大林宣彦から4人の監督へメッセージ」より/再放送予定:①7/11(土)前10:00〜10:49 ②7/14(火)前0:50〜1:39)大林監督から託された未来を守ること。映画を通し、戦場の恐怖、戦争の痛みを共有することがそれにつながることを願う。まずは観客のみなさまに、劇場の大きなスクリーン、大きな音響で、塚本監督の『野火』の世界を体感してほしい。そしてこの機会に平和について一緒に考えていきたい。

随時更新!上映劇場はこちらのページでご確認ください。

 

〈『野火』戦後75年 アンコール上映 関連情報〉

神奈川近代文学館 特別展「大岡昇平の世界展」記念上映(第43回文芸映画を観る会)
■日時:2020年11月6日(金)、7日(土)各日13:30上映開始(13:00開場)
■会場:神奈川近代文学館 展示館2階ホール (横浜市中区山手町110)
■上映作品:『野火』+ 塚本晋也解説『野火』20年の軌跡(『野火』メイキング)
■料金:各回前売・神奈川近代文学館友の会会員600円、当日800円(※当日券の有無は要問い合わせ)
*未就学児の入場不可。
*当日12:30よりホール前で配布する整理券番号順にご入場。
主催:県立神奈川近代文学館、(公財)神奈川文学振興会、文芸映画を観る会
お問い合わせ先:公益財団法人神奈川文学振興会 総務課 TEL : 045-622-6666
※本上映会は新型コロナウイルス感染拡大予防のための特別展の延期に伴い、2020年4月10日(金)、11日(土)の予定を延期して開催するものです。
イベントについての詳細情報

*『野火』メイキング「塚本晋也解説『野火』20年の軌跡」
塚本監督が10代に小説と出会ってから映画化への道を克明にとらえたドキュメンタリー。戦争体験者への取材、撮影、完成を経てヴェネチア映画祭のプレミア上映、劇場公開時の映像を通して「野火」の全体像に迫る。
監修/構成:塚本晋也 演出/編集:長岡広太 2015年/60分

*特別展「大岡昇平の世界展」
■会期:2020年10月3日(土)~11月29日(日) 休館日:月曜日(11月23日は開館)
※新型コロナウイルス感染拡大予防のため2020年3月20日(金・祝)~5月17日(日)を延期
■会場:神奈川近代文学館第2・3展示室
■観覧料:一般700円(500円)、65歳以上/20歳未満及び学生350円(250円)、高校生100円(100円)、中学生以下は無料 *( )内は20名以上の団体料金
※身体障害者手帳、愛の手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方は無料
■主催:県立神奈川近代文学館、公益財団法人神奈川文学振興会
■編集委員:湯川豊
■後援:NHK横浜放送局、FMヨコハマ、神奈川新聞社、tvk(テレビ神奈川)
■協賛:新潮社、中央公論新社、京浜急行電鉄、相模鉄道、東急電鉄、横浜高速鉄道、神奈川近代文学館を支援(サポート)する会
■広報協力:KAAT 神奈川芸術劇場
神奈川近代文学館HP
「大岡昇平の世界展」詳細情報

原作:大岡昇平 生誕110年 × 監督:塚本晋也 劇場映画デビュー30年 公開5年目を迎えた『野火』は令和初の夏もスクリーンに帰ってくる!!

2018年11月に最新作『斬、』を公開した塚本晋也監督が、戦後70年、71年、72年、73年と上映を重ねてきた『野火』。初公開から5年目を迎えた今年も終戦記念日を中心に、渋谷・ユーロスペースほかにて戦後74年のアンコール上映を行わせていただく運びとなりました。元号が平成から令和に変わり、歴史的には新しい時代の幕開けとなりましたが、引き続き映画『野火』を通して戦争を体感していただくことで、戦争の恐ろしさを繰り返し記憶にとどめていただく機会にしていただければと考えております。


2018年に最新作『斬、』がヴェネチア映画祭メインコンペティション部門に選出され、11月に全国にて劇場公開された塚本晋也。今年2019年は平成の幕開けとともに鮮烈な劇場デビューとなった『鉄男』(89)から30周年を迎え、先月ドイツで開催された第19回ニッポン・コネクションでのニッポン名誉賞受賞や7月に米NYジャパン・ソサエティー主催の第8回カット・アバブ賞の受賞が決定するなど、これまでの功績が世界で称えられている。

そんな塚本監督が構想から20年の歳月をかけ完成させ、2014年にヴェネチア映画祭メインコンペティション部門出品、戦後70年に当たる翌2015年に全国83館で公開した映画『野火』。製作当初からの「『野火』を毎年終戦記念日に上映されるような映画にしたい」という塚本監督の思いに共感した劇場にて、これまでアンコール上映を重ねてきた。初年度からの劇場・自主上映含む総観客数はおよそ9万人にのぼる。公開から5年目となる戦後74年の今年も渋谷・ユーロスペースを中心に全国30館の劇場で上映が決定。(6月21日現在)初上映となる劇場も多数あり、昨年よりも公開館数は増える見込み。

今夏のアンコール上映に先行して、7月21日(日)には川崎市市民ミュージアムにて、塚本晋也監督と映画監督でプロデューサーの岡本みね子氏のトークイベントが決定。本イベントは同月27日より川崎市市民ミュージアムにて「独立プロが描く平和への願い」と題し、同館の所蔵品である独立プロダクションの作品を中心に、戦争と真摯に向き合うために自主製作という形で生まれた作品を特集上映する企画のプレイベント。対談の前には『野火』のメイキング映像として、戦争体験者の声、撮影風景、映画祭、全国の劇場行脚の様子を通し戦後70年という重大な年を浮き彫りにする60分の濃密なドキュメンタリー「塚本晋也解説『野火』20年の軌跡」が上映される。同日に岡本喜八監督の『肉弾』(68)も鑑賞の場合は入場無料。

また終戦記念日の8月15日には、NHKラジオ第一放送の終戦の日特集企画「高橋源一郎と読む『戦争の向こう側』~2019年~」に塚本晋也監督がゲスト出演する。


【塚本監督からのコメント】

戦後70年で公開しました『野火』。そのときすでに戦争にいかれた方々はほぼいらっしゃらなくなり、戦場での恐ろしいできごとが忘却の彼方に消し去られようとしていました。

それから丸4年。記憶はさらに遠くなり、戦争で起こったことはさらに遠くへ押しやられ、戦争の痛みを想像することができずにその道に突き進んで進んでしまうことへの不安を感じます。さまざまな考え方がありますが、まずは『野火』を見ていただき、戦争の実際の恐ろしさを体で知っていただくー。その必要を感じています。
常に考えていなければいけないことではありますが、せめて1年に一度、戦争で起こったことを想像していただく機会にしていただけたら、と思います。そこには絶対近づかないようにするためにー。

ぜひ、劇場の大きなスクリーンと音響で、体感してくださいませ。

塚本晋也


今年は「野火」原作の大岡昇平さんの生誕110年にあたる。本作が公開された「戦後70年は、実際の戦争に行かれた方々がほとんどいらっしゃらなくなった年。戦争の痛みを知る方々が少なくなるにつれ、戦争に近づいてしまうという恐れを実感する。」と塚本晋也監督は繰り返し語ってきた。そこから時代はさらに進み、元号が平成から令和となってはじめての終戦記念日を迎える。改めて劇場の大きなスクリーンで、大きな音響に包み込まれ、『野火』があぶり出す戦場のリアリティーを体感してほしい。

随時更新!上映劇場はこちらのページでご確認ください。

《戦後74年の『野火』アンコール上映関連情報》

◆塚本晋也×岡本みね子 トーク開催 川崎市市民ミュージアム特集記念上映プレイベント
■日程:7月21日(日)
■会場:川崎市市民ミュージアム(神奈川県川崎市中原区等々力1-2)1F映像ホール
■プレイベント概要
11:00―『肉弾』(岡本喜八監督作品)上映
14:00―上映+トーク
上映作品:塚本晋也解説『野火』20年の軌跡(『野火』メイキング)
トークゲスト:塚本晋也(映画監督、俳優)×岡本みね子(映画監督、プロデューサー)
お問い合わせ先:川崎市市民ミュージアム TEL:044-754-4500

◆塚本晋也監督ゲスト出演!ラジオ第一放送 終戦の日特集企画
「高橋源一郎と読む『戦争の向こう側』~2019年~」
■放送日時: 8月15日(木) 夜08:05~9:55
■番組内容
まもなく、戦争を体験した人から話を聞くことが出来ない時代がやってくる。しかし、文芸作品は「戦争の向こう側」を様々な角度から、常に描き出してきた。終戦の日、希代の読書家であり、本の目利きである高橋源一郎さんが「戦争の向こう側」を描いた書籍を選び、朗読する。スタジオには、様々なゲストを迎え、語り合う。そこには、記憶に埋もれた、知らなかった「戦争の姿」や「隠された傷跡」がありありと、浮かび上がる。聴く者が皆、本を読む醍醐味と共に、戦争が惹き起こす“悲劇”を胸に刻む2時間。今年は「戦後の物語」を通じて「戦争による精神的・社会的トラウマ」に焦点を当てる。
番組ホームページ

◆メイキング「塚本晋也解説『野火』20年の軌跡」一部劇場にて同時上映
塚本監督が10代に小説と出会ってから映画化へを克明にとらえたドキュメンタリー。戦争体験者への取材、撮影、完成を経てヴェネチア映画祭のプレミア上映、劇場公開時の映像を通して「野火」の全体像に迫る。
監修/構成:塚本晋也 演出/編集:長岡広太 2015年/60分

◆石川忠×中村達也 『野火』上映記念ライブ映像 一部劇場にて同時上映
『野火』初公開時のイベントにて実施された石川忠と中村達也の共演ライブを複数のカメラにより撮影した迫力の映像。塚本作品の現場で照明スタッフとして経験をつみ、監督デビュー作『FORMA』(2013)が第64回ベルリン国際映画祭フォーラム部門国際批評家連盟賞を受賞した坂本あゆみが手がける。
監督:坂本あゆみ 2015年/30分